サワーマッシュとは|製法の意味とスイートマッシュとの違い

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目次
  1. 酸を足す理由
  2. スイートマッシュとの違い
  3. 収録データでの登場回数
  4. 製品名にサワーマッシュを掲げる製品
  5. スイートマッシュを掲げる蒸溜所
  6. ラベル表示としての位置づけ
  7. 関連ページ

サワーマッシュは、前回の蒸溜で出た酸性の残液を、新しい仕込みのマッシュに加える手法です。加えるその液はバックセット(backset)、セットバック(setback)、スティレージなどと呼ばれます。名前に「サワー(酸っぱい)」とありますが、出来上がったウイスキーが酸味を帯びるという意味ではありません。

穀物の配合を指すマッシュビルが「何を入れるか」だとすれば、サワーマッシュは「どう仕込むか」にあたる、別の軸の言葉です。

酸を足す理由

バックセットを加える狙いは、主に次の3つです。

  • pHを下げる — 仕込みを酸性に傾けると、雑菌が増えにくい環境になります。糖を含むマッシュは雑菌にとっても居心地のよい場所なので、先に酸で押さえておくわけです。
  • 酵母が働きやすい条件をつくる — 酵母は弱酸性を好みます。目当ての発酵だけが進みやすくなります。
  • 仕込みごとのぶれを小さくする — 毎回、前回の液から出発するため、水や穀物のわずかな差が均されます。同じ性格の酒を長く続けたい蒸溜所にとって、この再現性が重要になります。

3つめは言い換えると、そのバッチが前のバッチとつながっているということです。ニューリフディスティリング(ケンタッキー州)の「バックセッター」シリーズは、この性質を製品名に据えた例です。ピーテッドモルトを使った仕込みのバックセットを次のバーボンとライに持ち込み、バックセットが風味そのものを運ぶ性質を逆手に取っています。収録製品のうち、製品名に Backset を含むのはこのバーボンとライの2件です。

ラベルにサワーマッシュとある銘柄

スイートマッシュとの違い

バックセットを使わず、毎回まったく新しい穀物と水だけで仕込む方法をスイートマッシュと呼びます。サワーマッシュの対になる言葉です。

比べる点サワーマッシュスイートマッシュ
前回の残液加える加えない
仕込みのpH酸性寄りに傾く穀物と水のまま
バッチの関係前のバッチと連続する1回ごとに独立する
雑菌への備え酸が助ける設備の清浄度に依存する
収録製品名での登場8件5件

スイートマッシュは酸の助けを借りられないぶん、発酵槽や配管の衛生管理が厳しくなります。採用する蒸溜所は限られ、当サイトの蒸溜所解説でスイートマッシュを明示しているのは7軒です。

収録データでの登場回数

当サイトの蒸溜所と製品の解説で、この2語がどれだけ書かれているかを数えると、次のようになりました。

数え方サワーマッシュスイートマッシュ
製品名(和名を含む)に含む8件5件
製品の解説文・備考に登場(製品名の分を含む)26件28件
蒸溜所の解説文・備考に登場15軒7軒

蒸溜所の解説で両方に触れているのは3軒、どちらかに触れているのは19軒です。解説が仕込みの工程まで踏み込むのは、収録している蒸溜所のごく一部にとどまります。

製品名にサワーマッシュを掲げる製品

製品蒸溜所(州)種別
ミクターズ US★1 オリジナル・サワーマッシュ・ウイスキーミクターズ(ケンタッキー州)アメリカンウイスキー
ブラッディ・バッチャー サワーマッシュ ストレート・バーボン・ウイスキーニューリバティ(ペンシルベニア州)バーボン
オールド・エルク 6年 サワーマッシュ・リザーブ スモールバッチ バーボンオールドエルク(コロラド州)バーボン
ロック・タウン フォー・グレイン・サワーマッシュ ストレート・バーボンロックタウン(アーカンソー州)ストレートバーボン
シルバークラウド テネシー サワーマッシュ ムーンシャインシュガーランズ(テネシー州)コーンウイスキー
ザ・レバレンド・サワー・マッシュ・ウイスキーコールファミリーディスティラーズ(ノースカロライナ州)サワーマッシュウイスキー
オリジナル・アパラチアン・サワーマッシュ・ウイスキーアパラチアン(ウェストバージニア州)アメリカンウイスキー(その他)
オールド・コー サワー・マッシュ・ウイスキーエドウィンコースピリッツ(インディアナ州)アメリカンウイスキー

8件は8軒の蒸溜所に分かれていて、2件以上を出している蒸溜所は0軒です。種別もバーボンからコーンウイスキーまで散らばっており、サワーマッシュが特定の種別に結びついた語ではないことがわかります。

スイートマッシュを掲げる蒸溜所

製品名にスイートマッシュを含む5件は、すべてハードトゥルースディスティリング(インディアナ州)の製品です(蒸溜所の数は1軒)。ストレートバーボン2件、ライウイスキー2件、ウィーテッドバーボン1件という構成です。すべてが1軒に集まっているという分布そのものが、この蒸溜所が製法をブランドの軸に据えていることを示しています。

製品名には出さないものの、蒸溜所の解説でスイートマッシュを明示しているのは、ほかに6軒あります。ケンタッキーピアレスディスティリングとウィルダネストレイル(ともにケンタッキー州)、スターライト(インディアナ州)、ストール&ウォルフ(ペンシルベニア州)、ローンリーオーク(アイオワ州)、バージニアフットヒルズ(バージニア州)です。

ラベル表示としての位置づけ

サワーマッシュもスイートマッシュも、マッシュビルの下限やストレート、ボトルドインボンドのように名乗る条件が定まった語とは性格が違い、造り手が自分の仕込み方を説明するために添える言葉です。種別を決める表示ではありません。

収録データでも、種別欄そのものが Sour Mash Whiskey になっているのはザ・レバレンドの1件だけで、残りは製品名の側に現れます。裏を返せば、ラベルに書かれていないからサワーマッシュではない、とは言えません。

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よくある質問

サワーマッシュとは何ですか。
前回の蒸溜で出た酸性の残液(バックセット、セットバックとも呼びます)を、新しい仕込みのマッシュに加える手法です。仕込みのpHを下げて雑菌が増えにくい環境をつくり、発酵の条件を回ごとにそろえる狙いがあります。当サイト収録の蒸溜所解説のうち、この製法に触れているのは15軒です。
サワーマッシュのウイスキーは酸っぱいのですか。
いいえ。「サワー」は仕込みに酸性の液を加えることを指す言葉で、出来上がったウイスキーが酸味を帯びるという意味ではありません。
スイートマッシュとの違いは何ですか。
バックセットを加えるかどうかの違いです。スイートマッシュは毎回新しい穀物と水だけで仕込むため、バッチが1回ごとに独立します。酸の助けがないぶん発酵槽や配管の衛生管理が厳しくなり、当サイト収録製品のうち製品名にスイートマッシュを掲げるのは5件(すべてハードトゥルースディスティリング)にとどまります。
ラベルにサワーマッシュと書かれていない製品は、違う製法なのですか。
そうとは言えません。サワーマッシュは種別を決める表示ではなく、造り手が任意で添える説明です。収録製品のうち製品名に含むのは8件ですが、蒸溜所の解説文まで含めると15軒が言及しています。

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