シングルバレル・スモールバッチとは|バレルプルーフとの違い
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目次
バーボンの棚で必ず目にする「Single Barrel」「Small Batch」「Barrel Proof(Cask Strength)」。この3語は、原料でも熟成年数でもなく、どの樽を選び、どう瓶詰めしたかを示す表記です。原料比率で決まるバーボンやライウイスキーといった種別とは、まったく別の軸で付けられています。
当サイト収録のアメリカンウイスキー製品のうち、製品名に Single Barrel を含むものは144件、Small Batch は113件、Cask Strength または Barrel Proof を含むものは103件でした。
シングルバレル(Single Barrel)— 単一の樽から瓶詰めしたもの
複数の樽を混ぜず、1つの樽の中身だけを瓶詰めしたものに使われる表記です。該当144件は121の蒸溜所にまたがっており、うち106件がバーボン、20件がライ、5件がテネシーウイスキーでした。件数が多い蒸溜所はコーヴァル5件、オーガスタ4件、ドリフトレスグレン3件、ワイルドターキー3件です。
ラベルにシングルバレル・スモールバッチとある銘柄
スモールバッチ(Small Batch)— 少数の樽を組み合わせたもの
比較的少ない本数の樽を混和して瓶詰めしたことを示す表記です。ただし連邦規則には定義がありません。米国の酒類表示を定める 27 CFR Part 5 を確認すると、定義規定である §5.1 にも、表示制限を列挙したサブパートF(§5.81〜§5.91)にも、small batch という語は登場しません。何樽までがスモールバッチかを定めた基準は存在せず、判断は各蒸溜所に委ねられています。single barrel についても同様に、§5.1 にもサブパートF にも定義規定はありません。
該当113件は84蒸溜所にまたがり、85件がバーボン、15件がライでした。件数が多いのはケンタッキーピアレスディスティリング(4件)とビブ&タッカー(4件)、フォアローゼズ(3件)・オールドカーターウイスキーカンパニー(3件)・J.T.メレックディスティラーズ(3件)です。
バレルプルーフ/カスクストレングス — 樽出しの度数をほぼそのまま瓶詰めしたもの
この2語だけは連邦規則に明文の基準があります。27 CFR 5.87(a) は、barrel proof または cask strength の表示について、瓶詰め時のプルーフが樽から抜いた時点のプルーフより2度を超えて低くない場合に限って使用できると定めています。§5.1 でプルーフは華氏60度におけるアルコール分を容量パーセントの2倍で表した値と定義されるため、2度はアルコール度数(ABV)1%に相当します。つまり、樽出し度数からの加水は実質1%以内までということです。
さらに 27 CFR 5.87(b) は、original proof / original barrel proof / original cask strength / entry proof の各表示を、樽入れ時のプルーフと瓶詰め時のプルーフが同一である場合に限定しています。
該当103件は90蒸溜所にまたがり、メーカーズマーク(3件)とジェームズEペッパー(3件)が最多です。2件ずつの蒸溜所は9つあり、エンジェルズエンヴィやヘヴンヒルがこれにあたります。
3表記の比較
| 表記 | 示している工程 | 連邦規則上の定義 | 収録データの度数 |
|---|---|---|---|
| Single Barrel | 単一の樽から瓶詰め | §5.1・サブパートF に定義なし | 記載93件 |
| Small Batch | 少数の樽を混和 | §5.1・サブパートF に定義なし | 記載95件 |
| Barrel Proof / Cask Strength | 樽出し度数から2度以内で瓶詰め | 27 CFR 5.87(a) | 記載70件・うち50%以上69件 |
収録製品全体では50%以上は約40%ですから、樽出し度数の表記が全体から離れた位置にあることは数値としてはっきり出ています。
バレルプルーフ表記のうちABV記載のあるものの度数分布
| ABV帯 | 件数 |
|---|---|
| 50%未満 | 1 |
| 50〜54.9% | 6 |
| 55〜59.9% | 46 |
| 60%以上 | 17 |
ABV記載のある70件のうち69件が50%以上、17件が60%以上でした。
3つは排他ではない
これらは別々の工程を指すため、同時に成立します。実際、製品名に Single Barrel と Cask Strength / Barrel Proof の両方を含むものが19件あります。単一の樽を選び、その樽の度数のまま瓶詰めした、という意味です。一方で Bottled-in-Bond ないし Bonded の表記(146件)と Single Barrel の併記は3件にとどまります。
樽ごとの個体差という考え方
シングルバレルは定義上、瓶詰めのたびに中身の樽が変わります。スモールバッチは複数の樽を混和したうえで瓶詰めするため、1本のボトルの中身は複数樽に由来します。なお 27 CFR 5.1 は「熟成(age)」を、蒸溜後・瓶詰め前にオーク樽で貯蔵された期間と定義しています。シングルバレル144件のうち62件、スモールバッチ113件のうち46件に熟成年数の記載がありました。
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よくある質問
- シングルバレルとスモールバッチの違いは何ですか。
- シングルバレルは単一の樽の中身だけを瓶詰めしたもの、スモールバッチは少数の樽を混和して瓶詰めしたものを指す表記です。どちらも米国の酒類表示規則 27 CFR Part 5 に定義規定がなく、定義規定の §5.1 にも表示制限を定めたサブパートF(§5.81〜5.91)にも該当する語は登場しません。何樽までをスモールバッチと呼ぶかの基準も定められていません。
- バレルプルーフとカスクストレングスは違うものですか。
- 米国の連邦規則上は同じ扱いです。27 CFR 5.87(a) は barrel proof と cask strength を並べて規定し、瓶詰め時のプルーフが樽から抜いた時点のプルーフより2度を超えて低くない場合に限って表示できると定めています。§5.1 でプルーフはアルコール度数の2倍と定義されるため、2度はABV 1%に相当します。
- バレルプルーフの製品はどのくらいの度数ですか。
- 当サイト収録のアメリカンウイスキー製品のうち、製品名に Cask Strength または Barrel Proof を含むものは103件です。度数が記載された70件で見ると、69件が50%以上、17件が60%以上でした。収録製品全体で50%以上は約40%なので、明確に高い水準です。
- 同じ銘柄のシングルバレルでもボトルごとに中身は違いますか。
- シングルバレルは定義上、瓶詰めごとに中身の樽が変わるため、同じ銘柄でも度数や色がボトルによって異なることがあります。樽番号やダンプ日をラベルに記載する蒸溜所もあります。複数の樽を混和するスモールバッチは、そのぶんバッチ間の振れ幅が相対的に小さくなります。




