ボンデッドウェアハウス(保税倉庫)とは|酒税猶予の仕組み
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ボンデッドウェアハウス(保税倉庫)とは
ボンデッドウェアハウス(bonded warehouse/保税倉庫)は、酒税を納めていない状態のまま蒸溜酒を置いておける、税務当局に登録された保管施設です。アメリカでは蒸溜・熟成・瓶詰めを行う施設が蒸溜酒製造場(DSP=Distilled Spirits Plant)として連邦の酒類たばこ税貿易局(TTB)に登録され、そのうち未納税の酒を置く区画が保税地域として扱われます。
「ボンデッド」という語はラベル表記のボトルドインボンドで目にすることが多いのですが、そちらは瓶詰めの規格の話です。このページでは規格ではなく、倉庫そのものの制度に絞って説明します。
税を「出すときに払う」という順序
連邦の酒税は、酒が保税地域から搬出される段で納付します。税額は容量ではなく純アルコール量(プルーフガロン)を基準に決まるため、度数の高い酒ほど負担は重くなります(プルーフとは)。
この順序が、熟成という商売を成り立たせています。
- 樽で寝かせている数年のあいだ、造り手は酒税を払わずに済みます。売れる前に税を先払いしなくてよいため、長期熟成の資金負担が軽くなります。
- 熟成中に樽から蒸発して減った分(エンジェルズシェア)は倉庫から搬出されないため、その分の税は生じません。
- 一方で未納税の在庫を預かる立場になるので、施設の登録と、在庫の記録・報告といった義務が伴います。倉庫は造り手の自由な物置ではなく、申告と突き合わせられる場所です。
熟成中の酒への課税を猶予する仕組みは米国に限りませんが、名称・要件・監督の強さは国ごとに異なります(バーボンとスコッチの違い)。
DSP番号 — 登録された施設に振られる番号
登録された蒸溜酒製造場には「DSP-KY-3」のような番号が振られます。州の略号と番号の組み合わせで、どの施設で造られ、どの施設で瓶詰めされたかをたどる手がかりになります。当サイトが収録する蒸溜所解説のうち、本文にDSP番号を明記しているのは4件でした。
| 蒸溜所 | 州 | 解説に記載のDSP番号 |
|---|---|---|
| ケンタッキーピアレスディスティリング | ケンタッキー | DSP-KY-50 |
| オールドポーグ | ケンタッキー | DSP-KY-3 |
| ピーチストリートディスティラーズ | コロラド | DSP CO 15001 |
| O.K.I.バーボン | オハイオ | DSP IN-15023/DSP KY-15007 |
最後のO.K.I.バーボンは、自社の倉庫を持たない形の例です。収録データでは、原酒はインディアナ州の蒸溜所(DSP IN-15023)で蒸溜・熟成され、瓶詰めはケンタッキー州の別会社(DSP KY-15007)が行うとされています。このように熟成させる倉庫と瓶詰めする施設が別の会社にまたがることがあり、DSP番号はその区別をたどる手がかりになります。
リックハウスとどう違うのか
現場では熟成庫を「リックハウス」「ラックハウス」と呼びます。これは樽を積む木組みの棚(rick)に由来する建物の呼び名で、税務上の区分である保税倉庫とは別の軸の言葉です。同じ建物が、構造の話では「リックハウス」、税の話では「保税倉庫」と呼ばれることになります。
収録している蒸溜所解説のうち、リックハウス・ラックハウス・熟成庫のいずれかに触れているのは28件でした。バッファロートレース、ヘヴンヒル、ジムビーム、エイスミスボウマン、シーダーリッジなどが含まれます。関連語は用語集でも引けます。
倉庫での滞留年数をデータで見る
倉庫が何年ぶん使われたかは、ラベル表記からある程度読めます。ボトルドインボンドは保税倉庫で4年以上熟成させることを要件のひとつに含むため、この表記のある製品は最低4年ぶんの在庫期間を経ていることになります。
収録するアメリカンウイスキーのうち、製品名に Bottled in Bond/Bottled-in-Bond/Bonded を含む行は146件でした。その熟成年数表記を、表記の先頭にある数値で分類すると次のとおりです。
| 熟成年数表記 | 件数 |
|---|---|
| 4年 | 71 |
| 5年 | 17 |
| 6年 | 12 |
| 7年 | 7 |
| 8年 | 1 |
| 9年 | 1 |
| 10年 | 1 |
| 12年 | 1 |
| 13年 | 1 |
| 表記なし | 34 |
| 合計 | 146 |
年数表記のある112件のうち71件が4年の欄に入り、要件の下限に寄っています。この71件の内訳は、「4年」「4 Years」のように単一の年数を示すものが58件、「4年以上」「最低4年」「4〜5年」のように下限や範囲として書かれているものが13件です。4年未満は0件でした。表記のない34件についても、この表記を名乗る以上は4年以上ということになります(熟成年数表記とNAS)。
また146件のうち16件は、製品解説の本文で保税の制度に触れており、そのうち15件は「連邦政府監督下の保税倉庫」「連邦管理の保税倉庫」のように倉庫そのものを名指ししていました。倉庫が造りの説明として語られる頻度の目安になります。
なお146件は製品名からの機械的な抽出で、綴りの違いなどで漏れるものがあるため、該当製品の網羅的な件数ではありません。また、同一製品が表記違いで2行に分かれているとみられるものも含まれます。
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よくある質問
- ボンデッドウェアハウス(保税倉庫)とは何ですか。
- 酒税を納めていない状態の蒸溜酒を置いておける、税務当局に登録された保管施設です。アメリカでは蒸溜酒製造場(DSP)として登録された施設のうち、未納税の酒を置く区画がこれにあたります。酒税は倉庫から搬出する段で納付するため、熟成中は課税が猶予されます。
- 保税倉庫とリックハウスは同じものですか。
- 指している建物は同じことがありますが、言葉の軸が違います。リックハウス(ラックハウス)は樽を積む木組みの棚に由来する建物の呼び名で、保税倉庫は税務上の区分です。当サイト収録の蒸溜所解説のうち、リックハウス・ラックハウス・熟成庫のいずれかに触れているのは28件でした。
- ボトルドインボンドとの関係は何ですか。
- ボトルドインボンドは、保税倉庫で4年以上熟成させることを要件のひとつに含むラベル表記です。倉庫制度は要件の一部として引用されているだけで、制度そのものと瓶詰めの規格は別のものです。収録製品のうち製品名に該当表記を含む146件では、年数表記のある112件のうち4年未満は0件でした。
- 熟成中に蒸発した分にも酒税はかかりますか。
- 酒税は保税地域から搬出する時点で納付する仕組みです。樽から蒸発して失われた分(エンジェルズシェア)は搬出されないため、その分の税は生じません。




