テネシーウイスキーとバーボンの違い|リンカーン郡製法とは
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目次
一言でいうと:満たすべき要件が1つ多い
テネシーウイスキーとバーボンは、対立する2つのカテゴリではありません。テネシー州法は、テネシーウイスキーを、バーボンと同じ製造要件を満たしたうえで、さらに「熟成前にカエデの炭でろ過する」という工程を経たものと定めています。要件の数で言えば、テネシーウイスキーのほうが条件が1つ多い関係にあります。
この炭ろ過がリンカーン郡製法(チャコール・メロウイング)です。両者の違いを知るうえで押さえるべき点は、実質的にここ一点に集約されます。
テネシーウイスキーの銘柄
要件を並べて比較する
| 項目 | バーボン | テネシーウイスキー |
|---|---|---|
| 原料のトウモロコシ比率 | 51%以上 | 51%以上 |
| 蒸溜時のアルコール度数 | 80%ABV(160プルーフ)以下 | 同じ |
| 樽詰め時のアルコール度数 | 62.5%ABV(125プルーフ)以下 | 同じ |
| 熟成容器 | 内側を焦がした新しいオーク樽 | 同じ |
| 瓶詰め時のアルコール度数 | 40%ABV(80プルーフ)以上 | 同じ |
| 製造できる場所 | 米国内であればどの州でも可 | テネシー州内 |
| 炭ろ過 | 規定なし | 熟成前にカエデの炭でろ過 |
「ストレート(Straight)」の表記は両者に共通する概念で、2年以上熟成したものを指します。つまり「ストレートバーボン」と「ストレートテネシーウイスキー」は、どちらも同じ熟成年数の条件を指しています。
リンカーン郡製法とは、何をする工程か
蒸溜を終えたばかりの無色の液体(ニューメイク)を、カエデを焼いてつくった炭の層に通し、そのうえで樽詰めする工程です。炭の層を通過するあいだに液体の成分の一部が吸着されるため、同じ原料・同じ樽を使っても、樽に入る前の段階で中身が変わります。
名称はテネシー州リンカーン郡に由来します。バーボンには存在しない「樽詰め前の一手間」であり、テネシーウイスキーがバーボンと区別される根拠は、製法上はこの工程にあります。
定義はテネシー州法に置かれ、例外規定も存在する
テネシーウイスキーの定義は、テネシー州法に置かれています。州法は、州内で製造すること、原料のトウモロコシ比率や蒸溜・樽詰め・瓶詰めの度数、熟成に用いる樽といったバーボンと同じ条件を満たすこと、そして熟成前にカエデの炭でろ過することを求めています。
ただし、この州法には例外規定が設けられています。そのため「テネシーウイスキーと表示されているものは必ずリンカーン郡製法を経ている」と機械的に読むことはできません。定義の中心に炭ろ過があることと、例外の余地が残されていることは、あわせて理解しておく必要があります。
「バーボンではない」のか — 包含関係の整理
要件の包含関係でいえば、テネシーウイスキーはバーボンの要件も同時に満たしていることになります。両者は排他的な関係ではありません。
実際、本サイトが収録するテネシー州の製品にも、種別としてはテネシーウイスキーに分類しながら、製品名に「Bourbon」を用いているものが2件あります。キングスファミリーの「King's Family Distillery Tennessee Standard Bourbon」と、ペニントンディスティリングの「Davidson Reserve Wheated Tennessee Straight Bourbon Whiskey」です。「あれはバーボンなのか、テネシーウイスキーなのか」という疑問が生まれる背景にあるのは、法律上の排他関係ではなく、製品名の付け方です。
データで見るテネシー州の蒸溜所
本サイトが収録するアメリカの蒸溜所のうち、テネシー州に所在するものは37件です。このうちテネシーウイスキーの製品を収録しているのは20件です。
創業年で見ると、ジャックダニエルが1866年、カスケードホロウ(ジョージディッケル)が1877年、プリチャードズが1997年で、この3件を除く34件はいずれも2008年以降の創業です。データ上、テネシー州の蒸溜所の大半は2008年以降に生まれたことになります。
州内の蒸溜所には、ほかにチャタヌーガウイスキー社(2011年)、ネルソンズグリーンブライアー(2014年)、アンクルニアレスト(2017年)、オールドドミニック(2017年)、スティルハウススピリッツ(2016年)、コーセアアーティザン(2008年)などがあります。37件の全一覧はテネシー州の蒸溜所一覧から確認できます。
テネシーウイスキーに分類される製品
種別がテネシーウイスキーの製品は46件、20の蒸溜所に分散しています。蒸溜所別の件数はカスケードホロウが7件で最多、アンクルニアレストが6件、チャタヌーガウイスキー社が6件、ジャックダニエルが4件と続きます。46件のうち、製品名に「Straight」を含むものは5件でした。
代表的なものとしてはジャック・ダニエルズ オールド No.7、ジョージ・ディッケル No.12、アンクル・ニアレスト 1856 プレミアム・エイジド・ウイスキーなどが収録されています。46件の一覧はテネシーウイスキーの図鑑ページにまとめています。
なお、本ページの件数はいずれも本サイトの収録データから数えたものです。
関連ページ
- テネシーウイスキー(銘柄カタログ) — 該当製品46件の一覧
- バーボン — 定義と収録銘柄
- ライウイスキー — もう一方の主要カテゴリ
- テネシー州の蒸溜所一覧 / ケンタッキー州の蒸溜所一覧
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よくある質問
- テネシーウイスキーとバーボンの違いは何ですか。
- テネシーウイスキーは、バーボンの要件(原料のトウモロコシ51%以上、内側を焦がした新しいオーク樽での熟成など)をすべて満たしたうえで、熟成前にサトウカエデの炭でろ過する工程を加えたものです。製造地がテネシー州内に限られる点も異なります。対立するカテゴリではなく、テネシーウイスキーのほうが要件が1つ多い包含関係にあります。
- リンカーン郡製法とはどのような工程ですか。
- 蒸溜を終えたばかりの無色の液体を、サトウカエデを焼いてつくった炭を厚く敷き詰めた層にゆっくり通してから樽詰めする工程です。チャコール・メロウイングとも呼ばれ、炭の層を通過する間に液体の一部の成分が吸着されます。名称はテネシー州リンカーン郡に由来します。
- テネシーウイスキーと表示されていれば必ず炭ろ過をしているのですか。
- いいえ。テネシーウイスキーの定義はテネシー州法に置かれていますが、この州法には例外規定が設けられています。そのため、テネシーウイスキーと表示されたものがすべてリンカーン郡製法を経ているとは限りません。
- テネシー州にはいくつの蒸溜所がありますか。
- 本サイトが収録するアメリカの蒸溜所のうち、テネシー州に所在するものは37件です。このうち20件にテネシーウイスキーの製品があり、テネシーウイスキーに分類される製品は46件を収録しています。





