バーボンの名前の由来とは|1785年のバーボン郡とブルボン家
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最終更新 2026-09-30
「バーボン」という酒の名は、フランスのブルボン家にちなんで1785年に置かれたケンタッキーのバーボン郡から来た、と説明されるのが一般的です。一方で、ニューオーリンズのバーボン・ストリートで売られたことから広まったとする歴史家の説もあり、どちらが正しいかは確かめられていません。
早見表
| 年 | できごと | 出典 |
|---|---|---|
| 1589年 | アンリ4世の即位でブルボン家がフランスの王家になる | コトバンク |
| 1721年 | アドリアン・ド・ポージェがニューオーリンズの街路を割り付け、バーボン・ストリートと名づける | FrenchQuarter.com、Wikipedia |
| 1778年 | 2月6日、フランスとアメリカが同盟条約に調印 | 米国務省 |
| 1785年 | バージニアがファイエット郡を分けてバーボン郡を設置 | ケンタッキー歴史協会 |
| 1792年 | ケンタッキーが州になる。バーボン郡はそれ以前にできた9郡の一つ | 州の史跡標識1246番 |
| 1821年 | パリスの新聞「Western Citizen」に「Bourbon Whiskey」の広告 | Whisky Magazine、ラビットホール |
| 1850年代 | 「bourbon」と書いたラベルがフィルソン歴史協会に残っている | Smithsonian |
| 1870年代 | 郡名が由来だという話が活字に現れる | Smithsonian |
| 2014年 | 10月7日、ハートフィールド&カンパニーがバーボン郡で95年ぶりにバーボンを蒸溜 | ハートフィールド&カンパニー |
ブルボン家とバーボン郡
1785年、まだバージニアの一部だったケンタッキー地方で、ファイエット郡を分けて5番目の郡となるバーボン郡が置かれました。ケンタッキー歴史協会は、独立戦争で植民地に軍事と資金の援助をしたフランス王家をたたえて、バージニアがこの名をつけたと説明しています。米国務省の歴史室によると、フランスは1778年2月6日にアメリカと同盟条約を結び、1778年から1782年にかけて物資、武器弾薬、軍服、そして兵と海軍の支援を送りました。当時のフランス国王ルイ16世はブルボン家の王です。
郡庁所在地のパリスは、以前はホープウェル、次いでバーボントンと呼ばれていました。パリスの裁判所前にある州の史跡標識(1246番。題は「Bourbon County, 1786」)は、バーボン郡を1792年の州昇格より前にできたバージニアの9郡の一つとし、元の郡域から24郡の全部と10郡の一部が生まれたと記しています。ハートフィールド&カンパニーは、この広い範囲が小さな郡に分かれていったあとも、俗に「オールドバーボン郡」と呼ばれたと説明しています。
「バーボン」と「ブルボン」
郡も王家も、綴りは同じ Bourbon です。日本語では、王家はフランス語の音に近い「ブルボン家」、郡と酒は英語の音で「バーボン」と書き分けています。コトバンクの「ブルボン家」の項(精選版日本国語大辞典ほか)は、1589年にアンリ4世が即位してブルボン家がフランスの王家になり、ルイ16世の処刑で王位がいったん途切れたと説明しています。王家の名が郡の名になり、郡の名が酒の名になった、というのが郡名説の筋道です。銘柄名の読み方はバーボン銘柄の読み方にまとめています。
郡名が酒の名になったという説明
酒の名として「バーボン」が確認できる早い例は1821年です。業界誌Whisky Magazine(2014年、フレッド・ミニック)は、バーボン郡の新聞「Western Citizen」に載ったStout and Adamsの広告「Bourbon Whiskey by the barrel or keg」を、「bourbon」の語が使われた最初の例に挙げています。蒸溜所のラビットホールも、1821年にパリスの新聞「Western Citizen」に載った広告を、ウイスキーを指してバーボンの語を使った、知られているかぎり最初の公式な広告として紹介しています。郡の設置から36年後です。
ケンタッキー歴史協会は、ブルーグラス地方にあるバーボン郡はトウモロコシの栽培に向き、郡内で育ったトウモロコシや穀物の多くが地元のウイスキーの蒸溜に回って、その酒がやがて郡の名を取ったと説明しています。郡内パリスの蒸溜所ハートフィールド&カンパニーは、ケンタッキーのトウモロコシのウイスキーが交易路に乗って広まるうちに「バーボンウイスキー」の伝説が生まれたとしています。英語版Wikipediaには、オールドバーボン郡の中にあったオハイオ川の港メイズビルから出荷される樽に、積み出し地を示すため「Old Bourbon」と記されたという説明もあります。日本の国語辞典では、デジタル大辞泉が「ケンタッキー州バーボン郡が発祥地」と書いています。
ニューオーリンズのバーボン・ストリート説
バーボン史家のマイケル・ヴィーチは、2013年のSmithsonian誌の取材で、郡名説は年代が合わないと述べています。フィルソン歴史協会には1850年代の「bourbon」のラベルが残っているのに、郡名が由来だとする話が活字に出てくるのは1870年代になってからだ、という理由です。
ヴィーチの説では、フランスのコニャックの南から来たタラスコン兄弟がルイビルに移り、地元のウイスキーをオハイオ川からニューオーリンズへ送り始めました。兄弟は、焦がした樽に入れればコニャックや「フランスのブランデー」に近い味になり、ニューオーリンズの人に売れることを知っていたとされます。やがて客が「バーボン・ストリートで売っているあのウイスキー」を求めるようになり、それが「バーボンウイスキー」になった、という筋書きです。
ヴィーチは2026年6月の自身のブログで、1810年代初めにルイビルの商人だったタラスコン兄弟の一人の日記がフィルソン歴史協会に残り、ニューオーリンズで売られていたフランスのブランデーと「アメリカン・ブランデー」の値段が書かれていると紹介しています。ヴィーチによると、日記はアメリカン・ブランデーを、トウモロコシから造るので本物のブランデーではないとしています。同じ記事で、バーボンという語の最初の記録は1821年だとしています。
バーボン・ストリートの名も、元をたどればブルボン家です。フレンチクォーターの案内サイトFrenchQuarter.comは、1721年にアドリアン・ド・ポージェが街路を割り付けた際、フランス王家のブルボン家にちなんで名づけたとし、通りの名が酒から来たのではないと書いています。郡名説でも通り名説でも、名前の源はブルボン家に行き着きます。ヴィーチ自身は、誰がバーボンを考え出したのかはわからないままかもしれない、とも述べています。
バーボン郡の蒸溜所
ハートフィールド&カンパニーは、禁酒の法律が施行されたとき(同社は1919年としています)郡内で26の蒸溜所が動いていたものの、すべて閉鎖され、その後95年間は郡内でバーボンが造られなかったと説明しています。同社は、2014年10月7日に、禁酒法以来はじめてバーボン郡で合法に蒸溜したバーボンを造ったとしています。禁酒法の時期に業界に起きたことは禁酒法とは、蒸溜所の創業の流れは創業年で見るアメリカ蒸溜所史にまとめています。
買うときに見るところ
- ラベルの「Bourbon」は、米国内で蒸溜・熟成したウイスキーにしか使えません(連邦規則27 CFR 5.143)。州や郡の指定はなく、バーボン郡産である必要もありません。原料や樽の条件はバーボンとはにまとめています。
- 「Kentucky Straight Bourbon Whiskey」の「Kentucky」は州の名前で、郡までは表しません。州名を表示する条件はケンタッキーとバーボンを参照してください。
- 商品名に「Bourbon County」とあっても、酒の種類は同じではありません。ハートフィールド&カンパニーは2023年9月、ケンタッキー・バーボン・フェスティバルで同社初のストレートバーボン「Old Bourbon County」を出しました。グースアイランドの「Bourbon County Brand Stout」はバーボン樽で寝かせたビールで、2026年版のオリジナルスタウトの度数は14.2%です。バーボン樽のその後は使い終わったバーボン樽の行き先で扱っています。
出典
- Bourbon County - ExploreKYHistory(Kentucky Historical Society)
- Bourbon Whiskey - ExploreKYHistory(Kentucky Historical Society)
- Bourbon County, 1786(Marker 1246)- Kentucky Historical Society
- French Alliance, French Assistance, and European Diplomacy during the American Revolution, 1778–1782 - Office of the Historian, U.S. Department of State
- ブルボン家 - コトバンク
- バーボン - コトバンク(デジタル大辞泉ほか)
- 50 Monumental Bourbon Moments - Whisky Magazine(2014年7月18日)
- History Of Bourbon In Kentucky - Rabbit Hole Distillery
- Where Bourbon Really Got Its Name and More Tips on America's Native Spirit - Smithsonian Magazine(2013年6月13日)
- America's First Aged Whiskey - Bourbon Veach(2026年6月29日)
- Bourbon Street - FrenchQuarter.com
- Bourbon Street - Wikipedia
- Bourbon whiskey - Wikipedia
- About Hartfield & Co. - Hartfield & Co.
- 27 CFR § 5.143 - Whisky - Cornell Law School Legal Information Institute
- 2026 Bourbon County Brand Original Stout - Goose Island
読んだあとの一本
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よくある質問
- バーボンの名前の由来は何ですか?
- ケンタッキー州のバーボン郡から来たという説明が一般的です。バーボン郡は1785年、独立戦争で植民地を援助したフランス王家(ブルボン家)をたたえてバージニアが置いた郡です。一方、バーボン史家のマイケル・ヴィーチは、ニューオーリンズのバーボン・ストリートで売られたウイスキーが「バーボン」と呼ばれるようになったという説を示しており、どちらかに確定してはいません。
- バーボンとブルボンは同じ言葉ですか?
- 綴りはどちらも Bourbon です。日本語ではフランス王家を「ブルボン家」、ケンタッキーの郡と酒を英語の音で「バーボン」と書き分けています。バーボン郡の名はブルボン家にちなみ、ニューオーリンズのバーボン・ストリートも1721年にブルボン家にちなんで名づけられたと説明されています。
- バーボン郡で造ったものだけがバーボンですか?
- いいえ。米国の連邦規則(27 CFR 5.143)では「bourbon」の語は米国内で蒸溜・熟成したウイスキーにしか使えませんが、州や郡の指定はありません。ハートフィールド&カンパニーの説明では、バーボン郡では禁酒法で蒸溜所がすべて閉じてから95年間バーボンが造られず、2014年10月7日に同社が郡内でバーボンを蒸溜しています。




