Prichard's Tennessee Malt Whiskey プリチャーズ テネシー モルト ウイスキー

テネシー州ケルソーに1997年創業したプリチャーズ蒸溜所が手がける、100パーセント大麦モルトを原料とした希少なテネシー・モルト・ウイスキーである。プリチャーズ蒸溜所はアメリカで最も歴史あるクラフト蒸溜所のひとつであり、2010年のテネシー・ウイスキー法制定において、連邦法が定めるリンカーン・カウンティ・プロセス(シュガーメープル炭ろ過)の適用を免除された唯一のテネシーウイスキーメーカーとして業界内に知られており、その独自性はこのモルト・ウイスキーにも色濃く反映されている。同蒸溜所は創業者フィル・プリチャードが「テネシーの土地で本物のアメリカンスピリッツを蒸溜する」という理念を掲げ、ルイジアナ州フランクリンから移住してケルソーの農場に蒸溜所を建設した。通常のテネシーウイスキーがコーン主体(少なくとも51パーセント以上)のマッシュビルを採用するのに対し、このモルト・ウイスキーは主原料に100パーセント大麦麦芽のみを使用するという全くの異色設計で、スコットランドのシングルモルト製法に通じるアプローチをアメリカのテネシーで実践している。しかしシュガーメープル炭ろ過を行わず、テネシーのオーク倉庫という独自の熟成環境を経ることで、スコッチとも全く異なるアメリカ独自のモルトウイスキーが生まれる。40%ABV(80プルーフ)という穏やかな度数ながら、凝縮したモルトの香ばしさ、ライトトフィー、乾燥した草木やハーブの風味が複雑に重なる香味を持つ。余韻には乾いた麦芽の甘みと穏やかなオークが長く漂い、心地よいドライさで締まる。テネシーウイスキーのカテゴリーが単一ではないことを示し、伝統に縛られない自由な蒸溜哲学を実践し続けるプリチャーズの創業精神を体現する一本として、クラフト蒸溜史上に名を刻む作品だ。コーンベースとは全く異なるモルティな豊かさがテネシーの酒棚に新しい可能性を示し続けている。同蒸溜所はこのモルト・ウイスキーのほか、ライウイスキー(43%ABV)やリンカーン・カウンティ・ライトニング・コーンウイスキー(45%ABV)など多彩な表現を揃えており、テネシーウイスキー界の異端児として長年にわたって独自の地位を守り続けてきた先駆者だ。
| 蒸溜所 | Prichard's Distillery (プリチャードズ蒸溜所) |
|---|---|
| 種別 | Tennessee Whiskey |
| 備考 | Wikipedia・InternetWines・whisky.com掲載確認。ABV 40%確認。 |